テクノロジーは買えても、変革を推進する社員は買えない

 

Employees DriveInnovation
Posted on 8月 4, 2020

「イノベーション」はしばしば輝かしいニュアンスで語られ、わたしたちはそれがあたかもスムーズでまっすぐなプロセスであるかのような印象を持ちます。しかし現実は、イノベーションへの道には失敗や摩擦、議論が散りばめられています。そのような議論の一つには、競争力および従業員の両方にオートメーションが与える影響に関するものがあります。オートメーションの出現により現在の仕事が10〜20年後にまだ存在するかという論点の識者たちの持論は誰もが聞いたことがあるでしょう。

ロボットに乗っ取られるという考えはSFの良いテーマになるかもしれません—しかし人間の存在は人工知能やマイクロサービス、クラウドに脅かされないと安心しても良いでしょう。

しかしそれでもオートメーションが明日の企業や労働力にどんな影響を与えるかについては考える必要があります。小売業ではセルフチェックアウトを使い始めています。金融機関はアドバイザーロボットを導入しています。そしてそれは氷山の一角に過ぎません。

これらの変化がすなわち自動的に失業を意味すると考える過ちを犯してはいけません。その逆に、企業はビジネスの未来の成長について真剣に考えるべきです。テクノロジーはこのような成長を叶えるものとして捉え、実際の従業員に取って代わるものとして捉えるべきではありません。例えばアマゾンのような企業はまさにテクノロジーのおかげで成長することができたのであり、同社では従業員にはより高価値の作業に従事させています。

 

仕事の進化

テクノロジーは仕事に対するわたしたちの集団的な考え方を変え、それにより仕事と従業員のそれぞれが影響を受けました。リモートワークは簡単にできます。移動中のメール送信だってどこででも行われています。この記事を読んでいる(そして願わくばお友達に共有してくれている)人は、おそらくNASAが1969年に使用していたコンピューターよりも高いコンピューティング力が詰め込まれたモバイルデバイスで読んでいることでしょう。さらには、そのデバイスはポケットに収まる大きさでしょう。

ここから学べることは、わたしたちは変化がビジネスをどう脅かすかを心配するのではなく、変化を受け止めるべきだということです。納得いかない人のために、未来を受け入れ、その結果メリットを得ることができた企業の例を以下に紹介します。

 

最高のフィーリング:コカ・コーラ

双方向コミュニケーションチャネルやソーシャルメディアの存在により、製品やサービスの価値のイメージを形成するのはブランドだけではなくなっています。ツイッターには3億2800万人、Facebookには19億4千万人、Snapchatには1億6600万人のユーザーがいて、ブランドについて思うことを30秒もかからずに発信することができるのです。

この新たな現実を認識したコカ・コーラは、同社のAmbassadorアプリを通じて20万人以上の従業員にソーシャルメディア上の対話に参加するよう促しました。その目的は同社最大の資源である従業員に、ソーシャルメディア上の何億人もの人々と関わり合ってもらうことです。これを一つの部署に専任で担当させるのではなく、ソーシャルメディアでの従業員のエンゲージメントを増やし、従業員をブランドアンバサダーに変身させたのです。

しかしそれだけに留まりません。コカ・コーラにはグローバルのパートナー、流通業者、供給業者がいます。この大手飲料メーカーにとっての次のステップは、このツールをグローバルに用いながら、ローカルレベルで活用することです。例えば、コカ・コーラはローカル市場に関する知見を用いることで、ローカルのマーケティングの時間帯、利用できる流通チャネル、技術要件を理解することができます。

Facebookページに1億の「いいね」が付くコカ・コーラを見ると、同社が取っている道筋は正しいようです。

 

さらに前へ:トヨタ

真新しいツールを導入したからといって、従業員が自動的にソーシャルメディアの達人になるわけではないことは指摘しておくべきでしょう。企業は変化が起こるたびにそれを受け止める文化を醸成する必要があります—トヨタのように。

「リーン生産」の父、もとい祖父とも言えるトヨタは、「イノベーティブなもの全て」を象徴するまでになりました。ますまる高まるガソリン価格への懸念や二酸化炭素排出の環境への影響に気づいたトヨタは、プリウスの発売により有効な代替案をもたらした初めての企業となりました。しかしトヨタの本当の成功は単なる一製品ではありません。この自動車メーカーは生産モデル全体および従業員の巻き込み方に革命をもたらしたのです。

トヨタの生産チーム従業員の年間離職率は常に3%以下を維持してきました。同社がこれを達成している方法の一つは「カイゼン」を可能にするそのリーン生産方式です。

トヨタ社長・豊田章男氏は、「トヨタの歴史を通して、全ての生産ラインに『アンドン』コードを設置することにより車両の品質と信頼性を徹底してきました。そしてアセンブリで問題が生じたら生産を止めることをチームメンバーに促してきました。問題が解決して初めてラインが再稼働するのです」と語ります。

カイゼンの精神に則り、トヨタでは問題が発生するたび、全員で「なぜか?」と5回問うことにより答えを探します – つまり従業員を責めるのではなく問題そのものに焦点を当てるのです。

離職率の低さに寄与するもう一つの要因は従業員が受ける広範囲にわたるトレーニングです。従業員はビジネスの全ての観点を理解するよう訓練されます。それゆえ、トヨタの社内で技術変更が生じたとき、従業員は同社の成長に貢献する準備ができているのです。

 

同じ製品を、より多くのチャネルで

CFA Instituteの研究によると、ミレニアル世代の投資家の70%がデジタルの資産管理ツールを持つことの重要性を強調しています。自動(ロボ(ロボット))アドバイザーのことを聞いたことがあるかもしれません。企業が顧客に対して人間ではなく対面オンラインソリューションを通して金融アドバイスを提供するものです。これはアドバイザーの生活を脅かすものと受け止めるべきでしょうか?

同研究によると、「セルフ式モデルの魅力は比較的少数の消費者にしか響かない。顧客の大多数はむしろパートナーのアドバイザーと共に機能してサービス経験を向上するようなテクノロジーを望んでいる」とのことです。

それに呼応して、企業は同じ製品(投資アドバイス等)をより多くのチャネルを通じて提供する機会を捉えています。例えば、創立およそ100年の大手退職金・保険企業のTIAAは、顧客の心(とお金)を勝ち取るためにロボアドバイザーを導入しました。

「より多くのお客様に向けて健全な生活資金設計のサポートを提供することを目指す当社にとって自然な次のステップなのです」とTIAAのリテール金融サービスのトップ、Kathie Andradeは語ります。

 

全ての道は(必ずしも)ローマに通じない

テクノロジーの変化のペースが早くなる一方で、ビジネスに保証はありません。変化はあなたの組織に目覚ましい成長の機会をもたらすかもしれません。しかしテクノロジーを買えることは、イノベーションを買えることを意味しません。後者には統制、集中、そして—最も重要である—企業の旅路をずっとお伴してくれる献身的な従業員のチームが必要なのです。