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顧客価値と学びがつくるリーンかつアジャイルな組織

CI&T
05/16/2019
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本稿は米国CI&Tの Consumer needs, Digital Transformation, and Learning の翻訳版です。

よく変革は難しいと言われます。しかし、時に私たちが目の当たりにするのは、変えられてしまうことへの抵抗なのです。そうした抵抗は、ビジネス手法が確立している大きな組織で特に顕著です。そうした企業では経営がもう何年も順調で、運営管理の仕組みがしっかりと根付いています。リスクは最小限に抑えられ、諸手続きは細かいところまで定められています。

しかし、変わりゆく顧客のウォンツやニーズに対応できる敏捷性(アジャイル)が求められる局面では、数々の問題が発生してしまいます。

 

企業組織の構造的な問題

あらゆる企業が成功を収めることを目指しています。それぞれの業種で主導的な役割を担うことを望んでいるのです。ところが、各社の構造そのものがその最大の障害となることがよくあります。

実際には多くの企業が変化のスピードを落とすことを意図した構造をしているのです。議論やメール、さらには情報提供依頼や承認請求の連続で仕事の進捗が遅くなっていることに企業内部の人々は気づいています。こうした複雑な状況化では、企画から顧客に新製品を提供するまでに24ヶ月もかかってしまうといったことも起こり得ます。

しかし、本当に残念なのは、顧客の生の声を聴き、顧客から学ぶ機会を逸してしまっていることです。

 

アジャイルであることの重要性

企業が直面しているもう一つの課題は、市場が急速に変化し続けているため、かつてないスピードで顧客がより良い製品を求めていることです。顧客の心を掴むためには、俊敏(アジャイル)でなければなりません。

とは言うものの、中間管理職にスピードの重要性をしっかりと認識してもらうにはどうすれば良いのでしょう? 相手は維持されている現状を築いた人々です。現状彼らのやり方で順調なのです。

しかし、彼らの意識が変わらない限り、15年後には問題が山積してしまっていることでしょう。組織内部のこうした硬直性を打破するためには、内部で戦いを仕掛けなければなりません。おそらく最大の難関は、「プロジェクト意識」に対する戦いです。

プロジェクトチームはプロジェクトを進めることだけに集中し過ぎてしまうあまり、顧客を満足させる製品やサービスに繋がる新たな価値の流れを作ることを忘れてしまいます。

 

事例: グローバル飲料大手企業のバリューストリーム

誰もが知っているブランドを持つ世界的規模の企業を運営するのは単純なことではありません。例えば、私たちが以前に協力したある飲料大手は、数万人に及ぶ従業員と50以上の子会社を効果的に運営するための複雑な企業構造を築かなければなりませんでした。

当然、そうした大規模な組織運営が可能な内部体制を作り上げるために、この企業はかなりの時間とリソースを費やしていました。法務担当はコンプライアンスと契約を最優先します。IT担当は効率性と標準化を追及します。そして、マーケティング担当はブランド認知を重要視します。

それでは、このような複雑な組織では、新製品の企画において顧客の声はどのような役割を担っているのでしょう? 顧客を念頭に置いた視点を持つ余地がこの企業にはあるのでしょうか?

 

ブラジルのあるグローバル飲料企業に対して私たちはこの疑問を提示しました。解決策を見つけるために、CI&Tは非炭酸飲料を主軸に据えた取組みの開始を手助けし、顧客が実際のところ何を欲しているのかに焦点を絞った新たな実験的な経営モデルを導入しました。

つまり、様々な部署の人々からなるミニ企業とも言えるバリューストリーム(価値の流れ)を同社内に作り出そうとしたのです。また、プロダクト開発チームを送り込み、製品をいかに顧客に届けるかについての再考プロセスを支援しました。

こうしたことを進めていく過程で、私たちはこの企業の従業員たちの働き方、さらには仕事への思いの変革の一助となることができました。

 

私たちは、新鮮さや天然成分、そして栄養価の透明性について顧客が求めていることについて学びました。この実験的なチームは自ら3ヶ月の期間を設定した上で、新しいジュース製品の市場投入まで漕ぎ付けました。

このような快挙を達成するにあたっては数多くの制限がありましたが、特区的な権限が担当チームに与えられていたおかげで、創造的な解決策を発見し、多様な選択肢を活用することが可能となりました。

例えば、顧客の希望に応えたこの新しいジュース製品の実現にあたり、既存の生産ラインを使用することはできませんでした。しかし担当チームは怯むことなく前向きに取り組み、代わりとなる受注生産業者と契約しました。

 

この過程を経て、私たちはたった3ヶ月間で新製品を市場に投入することができました。さらには、新たな流通提携業者と協業することで新しい流通モデルの活用法についても学ぶことができたのです。より大きな価値を市場にもたらすという目標を持ったことで、こうした学びが得られたのでした。

この飲料メーカーの組織としての有り方、動機づけの方法、組織として何を求めているのか、そして組織としてどのように機能するかについて、上記の試みは深い洞察を可能にしてくれました。

 

行動がマインドセットを変える

この経験から私たちが学んだことは、Lean InstituteのJohn Shook氏の「行動を変えることで考え方を変革するほうが、その逆より簡単」という言葉を思い起こさせます。

意識の変革は難しいだけでなく、変革の程度をどのように測定すれば良いのかも不明ではないでしょうか? その代わりに行動をまず変えてしまえば、誰もが新しい考え方をするようになるのです。

また、行動の仕方を変えることは、CEO以下のすべての人々がスピードの重要性を鮮明に意識し始めるきっかけにもなります。市場は瞬時に変化します。現代では、遅すぎることが致命的なリスクになります。企業はスピードを最大化する方向で組織化されなければなりません。

 

ここで次のような疑問が浮上します。組織を10倍良くし顧客動向にもっと敏感に反応できるようにするためには上記のような事例をどのように活用すれば良いのでしょうか? 「何々を改善しなければならない」というのは散々言われていることで、誰もが飽き飽きしています。懐疑的な見方は長い時間をかけて自然に根付いてしまっているものです。

そうした心理的抵抗への対処として、企業組織の中にミニ企業を立ち上げてしまう方法があるわけです。実際の顧客の希望に応えることに焦点を置いた新たな価値の創造に全力で取り組める人員を探しましょう。顧客からのフィードバックを活用することが困難であったり、サプライチェーンが頻繁に混乱を来たすといった問題があれば、そこが注意を集中するべきポイントです。

 

しかし、一夜にして奇跡が実現すると期待してはいけません。担当チームは適正な活動環境を必要とします。試行し、成功への一歩として失敗することが容認されるような環境が必須です。そのような環境下であれば、すぐに学習サイクルが想像していたよりもずっと速いことに気づくことになるでしょう。

そして、リーン原理の導入に成功した他の組織と同じく、顧客のウォンツやニーズに非常に効率的に対応可能な組織構造が実現するのです。