agile growth

リーンとアジャイルの違い、そして有能なリーダーとは?

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CI&T
04/18/2019
agile growth

本稿は米国CI&Tの Lean, Agile, and Becoming an Effective Leader の翻訳版です。

テクノロジーが様々な産業をあらゆる形で変えてきたことは否定できない事実であり、その結果、リーダーは組織やチームの運営方法について再考を迫られています。

一方で、人気ある2つの改革モデル、リーンとアジャイルは、ワークフロー、製品開発、そしてアイデアを現実化するために必要な無数のタスクを整理するための重要な基本原則を提供します。

しかしリーダーはどのように適応すべきでしょうか? それに答えるために、アジャイルとリーンの違いを探り、それが組織のリーダーにとって何を意味するのか考えてみましょう。

最初の質問:あなたのゴールは?

クリエイティブチームの運営管理においては、唯一の万能アプローチはありません。代わりに、手始めにあなたの直近のゴールから考えてみましょう。言い換えれば、Lean Enterprise InstituteのCEO、ジョン・シュックが言うであろう「解決しようとしている問題は何なのか?」ということです。

アジャイルに関するほとんどの文献において、リーダーシップの役割の定義は存在しません。それがリーンとアジャイルの最も大きな違いのひとつです。しかしリーンにおける従来の解決策は、リーダーはビジネスのすべての側面を深く理解しなければならないというものであり、それはとても高いハードルとなりえます。さらには、これは「マネジメント」の解釈としては厳格すぎるものでしょう。

アジャイルにはマネージャーのための参考書はないため、リーダーによっては「ファシリテーター」として振る舞い、「自分が邪魔にならないようにすることで助ける」ことでチームが自律的に動くようにするという役割を担う人がいます。小規模のプロジェクトならばアジャイルでも目的完遂には十分かもしれません。しかし例えば全社規模の改革を行う際には、何百人もの社員が自律的に動くことは難しいであろうことも心に留めておいてください。

プロセスの価値

ほとんどの「アジャイル原理主義者」はプロセスを厄介なもの、チームの自律性を制限するものと捉えます。言い換えれば、チームに自律権を与えるならば、どうすれば同時にプロセスにも従わせることができるのか?ということです。アジャイルとプロセスは折り合いが悪いものなのです。

反対にリーンでは、プロセスはなくてはならないものです。定義されたプロセスは、何かを行う上で「わたしたちが知る限りの最善の方法」を明確にし、すべてにおいてこの集合的な知恵が反映されます。チームメンバーは「最善の方法」をまず知った上で、改革を図るためのプロセス変更を促されます。一方、プロセスを課し、プロセスの進化を図るのはリーダー側の人間です。

学習プロセス

アジャイルでは、すべてのチームが各自のプロセスを一から、さらにはメンバーの過去の経験を踏まえて定義します。しかし作業のために定義された基盤があるわけではなく、チームメンバーの知見に基づいて改良を図るものです。

リーンでは他の人の過ちから学ぶことでミスの削減を図ります。組織において、同じ間違いの繰り返しは避けたいものです。このような環境では、確立されたプロセスには「進めるのに最善の方法」が示されているという点で、過去の過ちが反映されているかもしれません。しかしプロセスに従うと過程や他人のミスを十分に味わうことが難しいため、チームが学習する能力の妨げにもなりえます。

究極的には、知識の基盤と組織のリーダーシップはまったく異なるものであるということです。

経営において意味するもの

これらの一見似たようでいて異なる改革モデルはどのように両立させれば良いのでしょうか? アジャイルが最もよく機能するのはチームレベルだと言う人もいるでしょう。一方、リーンはプロセス中心の方法でエンドゴールへと導きます。例えば、リーンの原則は基本原則や統一文化、ベストプラクティスをチームのために確立すれば組織レベルでもよく機能します。かたやアジャイルは、アイデアをテストし解決案を見つけるためのフレームワークをチームに提供します。

リーン組織内においては、リーダーは今なされている仕事が何なのか深く知らなくてはなりません。また、人材を開発しプロフェッショナルとしての成長を見届ける心からの欲求がなくてはなりません。これはかつての「問題は持ってこないで、解決案を持ってきてくれ」という古いアプローチとは異なるものです。問題は見たくないと言うマネージャーがいることは、組織にとって近視眼状態、もとい「盲目状態」とすら言えるでしょう。

旧式モデルにおいては、リーダーはビジネスの前進を妨げる盲点を作り出してしまいます。問題を認識したチームメンバーが解決のための能力も自律権も持たなかったらどうなるでしょうか? これこそが従業員からの問題報告を妨げることが大きな過ちである理由なのです。

リーン組織においてリーダーはまた、チームの苦労を共有し、質問し、解決法について考えさせ、そして究極的にはリーダー自身が属するビジネスにおける専門家、権威となる意志を持たねばなりません。ほとんどの企業が指揮統制型の経営アプローチをとる時代において、リーンはより流動的な選択肢を提供します。—人に考える余地を与えることで、自分はサポートされているのだと感じさせることができるのです。

アジャイル型チームのいるリーン型組織

CI&Tでは、リーダーは邪魔にならないようどいているべきだという考えに与したことはありません。反対に、リーダーはチームを開発し、チームの意思決定を手伝い、ソクラテス式に教え学ぶためにいるものと考えます。このことはチームが問題に対する最善のアプローチを考える自由と柔軟性を与えられていることを意味しますが、これはまさにアジャイルの考え方なのです。

リーダーがこのプロセスの一部になるには:真のリーダーはチームに「解決案」を差し出すことはありません。真のリーダーは自分の知識を使ってチームの思考の中にギャップを見出させ、よりよい解決案を出すよう促します。また、リーダーが結論を押し付けるのではなく、チームが自ら結論を導くことを許すことが最重要です。

それがなぜかを率直に言えば、自分で考えることなく学ぶことは不可能だからです。それが「最善の方法を学ぶ」ことと「盲目にプロセスを追う」ことの違いです。有能性を発揮するためには、リーダーはプロセスと自律性がバランス良く機能するダイナミックな環境を醸成しなければなりません。

そうして初めて、魔法のようなことが起こるのです。